こんにちは。わたしたちは福井県越前市で建築設計と施工をさせていただいているM工房です。
建築というと合理的に考えることが多いですが、そのなかでも私たちは居心地のいい空間をつくることを好んでいます。
会長の好みで得意とする和建築、茶室や旅館や数寄屋建築は3人の息子たちにも引き継がれ、そこから住宅建築・店舗建築・古民家再生・伝統建築・改修リノベーション・地域活性化や地方創成のエリアリノベーションへと建築の広がりをみせています。
建築のご相談は、ご依頼者固有で独自のことが多くあります。たとえば、
「この愛着のある椅子はこれからも使っていきたい」
「この景色が好きでここに住んでいる」
「成長や老いにあわせてていねいに暮らしていきたい」
「生産性向上のために社員の働く環境を良くしたい」
「茶道の楽しめる場所をつくりたい」
「家事楽な生活を重視したい」などなど。
わたしたちは、一方的な提案や画一的に合理化された提案よりは、ケースバイケースでご依頼者に寄りそったご提案や実工事をさせていただいています。
もちろん、建築に永くかかわってきたプロとしてのアドバイスとテクニックも使いながら、一緒によりよい建築ができることを期待しています。
M工房一同
建物を造ったり修理したりすることを、昔は作事と言いました。鎌倉・室町・江戸幕府の職には殿舎の造営・修理や土木などの工事をつかさどる作事奉行という役職がありました。 私たちM工房は、この「作事」の心を大切にし、茶室・料亭・住宅・寺院など、お客様に満足いただける建築を目指し、日々邁進していく所存です。
M工房の現事務所は、旧武生郵便局を改修し、自宅兼事務所として利用しております。旧武生郵便局は大正2年9月18日の大火で類焼し、翌年の10月1日に敷地を少し移動し、武生中央部の蓬莱町に新築されました。昭和4年(1929)3月1日に新局社が新築されて移転されるまでの約15年間ここで郵便と電信・電話業務を取り扱っていました。
郵便局社という公共建築であることから、仕様書・設計図に基づき入札の上施工業者が決定されたと考えられますが、設計者・施工者とも不詳であるとされています。また大工は金沢の小杉氏と伝えられておりますが、元請けか否かはわかっておりません。
その後局社は、武生簡易保険健康相談所、医師の住宅を経て、平成11年(1999)に復元的な改修工事が行われ、現在は建築設計事務所兼住宅として使用されています。
玄関の庇を含んで、新築当時の写真と比較すると外観はほとんど変更されておりません。
武生簡易保険健康相談所の平面図と比べてみると、近年かなりの間仕切りの変更が行われ、特に2階間仕切りは全面的に変更されているように見受けられました。
平面の中央部に2本の太い欅の通し柱が1階から小屋裏まで伸びて桁行の大きな牛梁を支え、この牛梁と桁行とで小屋梁を支えて小屋が構成されていることから、2階は大きな空間を採っていたことも考えられます。
平成11年の工事で、内部は板床、木摺下地の白漆喰壁、板張り天井を基本としていたことが知られ、また筋交いも使用されていることもわかりました。この筋交いの中には、くの字型のものもあり、当時の構造技術の考え方も知られ興味深いものとなっております。
以上のように、旧武生郵便局は内部の改装はあるものの、全体的に瀟洒でしっかりとした造りの庁舎です。
県内では数少ない戦前の郵便局舎の遺構として、また現在では数少なくなった下見板張りの洋風建築の遺構として大変貴重な建築物であることがわかります。
事業内容:茶室、料亭店舗、旅館、注文住宅、古民家再生、町屋建築の設計、監理、施工